今、建設現場では女性の皆さんが活躍しています。
実際に活躍している皆さんから、現場の様子・やりがいなどを紹介します。
File33:地域住民と密接に関わる水道インフラの仕事
株式会社鎌田配管工事店 静岡営業部インフラ整備グループ 漆畑 裕子さん
この仕事に就いたきっかけは?
短大を出た後は小学校の事務員の仕事をするなど、初めは全く違う業界にいました。正社員の仕事を探していた時に出会ったのが、主にのり面(のりめん。切り土や盛り土などからつくられる人工的な斜面のこと)の工事を行う土木会社でした。以降、下水道会社、水道工事会社と自分のスキルアップを目指して転職。その間に、職場に勧められるまま1級土木施工管理技士やブロック塀診断士、2級造園施工管理技士の資格も取得しました。
今、勤めている「鎌田配管工事店」は、5年ほど前に入社。最初の2年ほどは、水漏れの修繕などの土木関係の作業をしていましたが、現在所属するインフラ整備チームの立ち上げに伴い、異動しました。
どんな仕事をしているのですか?
配水管の布設替工事の現場監督をしています。この仕事は、古くなった水道本管を取り出し、新しいものに取り替える工事。水道を管轄する行政から配管図面のベース(設計図)が送られてくるのですが、私はこの図面をもとに、現場の状況を確認しながら、水道本管を埋設して図面を作成します。
また、工事中は、交通誘導員との打ち合わせや、施工範囲内の住民との調整、近隣で施行中の工事との調整も必要となります。
水道本管からその地域の各家庭・工場・企業・店舗などに接続する給水管に繋がっているので、管を取り替えるために、各家庭などに一時的に断水をお願いする必要もあります。それぞれに断水可能な時間帯があるので、私は現場監督として、各家庭などを訪問し、スケジュールの調整を行うなど、地域との連携をとる仕事もしています。
仕事の魅力はどんなところですか?
地域の住民の皆さんを訪問したりすると、みなさん、本当にいい方で、とても親切にしてくださいます。配水管の布設替工事の仕事は、1つの現場で数ヵ月〜半年以上かかることもあるので、自然と地域の方と親しくなります。水道管の工事は地域の方の協力があって成り立つ仕事。工事が終わり、最後にご挨拶にうかがうと「ありがとう」と言ってもらえることが多く、とても嬉しくなります。
何か資格や専門の勉強は必要ですか?
写真は通水・洗管状況(空気・濁り)を確認している様子
土木の1級もしくは2級土木施工管理技士は必須ですが、入社してから勉強すれば大丈夫かと思います。私は他に下水道排水設備工事責任技術者や水道配水用ポリエチレン管 継手といった資格があり、近いうちに給水装置工事主任技術者の資格も取得するつもりです。
資格を取ることで、申請書類などの「責任者」等の欄に自分の名前が出るので、責任もありますがその辺は誇らしく感じますね。
以前は給水の申請業務を担当していて、調査をする際に本管の図面を確認することがありました。水道本管の図面を読むのはとても苦手だったのですが、経験を積むうちに少しずつわかるようになってきました。勉強もたくさん必要ではありますが、資格があればいくつになっても働ける。知り合いも資格があるから70歳になっても、まだ現役で働いているんですよ。手に職があると安心ですね。
女性が少ない業界ですが、働きにくさはないですか?
当社の場合、各現場の近くに事務所を借りることが多いのですが、鍵がかけられる場所で着替えができたり、女性専用のお手洗いを設置してもらえたりするので、安心です。
後輩の方へのメッセージをお願いします。
土木・建築業界では、現場で活躍する女性が増えてきました。女性でも大きなトラックを運転したりしていますし、以前に比べると、女性にも優しい環境になってきました。力仕事はできませんが、地域住民の方と調整する仕事などは、特に女性の方がやりやすいかもしれません。
配水管の仕事は、女性も活躍できる仕事。当社の社長ももっと女性が増えてくれればと話しています。今後、より女性が働きやすい環境をバックアップしてくれるので、ぜひ水道業界に興味を持ってもらえると嬉しいです。
(取材日:2022年8月)
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